中東ドバイにおける意外な⁉サプリメント事情。

こんにちは!

サプリメントアドバイザーのヒロキです。

サプリメントをはじめとした健康食品市場は、世界的に目覚ましい成長を遂げています。

英国の調査会社によると、2018年度における世界のビタミン・栄養補助食品マーケットの売上規模は、約1,140億ドルに成長しています。国別では、上位から、米国が291億ドル、中国が231億ドル、次いで日本が110億ドルとなっています。一方、地域別では、中国を含むアジア地域が目覚ましい成長を遂げ、市場規模は500億ドル(前年比5%増)に到達し、世界のビタミン・栄養補助食品市場の半分を占める結果となりました。

 

そういった中で、今回は、学術誌J Prim Care Community Healthに掲載されたアラブ首長国連邦最大の都市、ドバイにおけるサプリメントの利用状況を調査した論文をご紹介します。

 

論文の題名は、

「ドバイにおけるサプリメントおよび健康増進に関わる政策課題に対する公衆衛生的アプローチ」

「Suboptimal Health, Dietary Supplementation, and Public Health Approaches to Regulatory Challenges in Dubai.」

です。

 

ドバイは、アラブ首長国連邦の中心都市で、人口は約331万人、中東屈指の金融センターで、21世紀に入ってから多くの超高層ビルや巨大ショッピングモールが建設されるなど、今や世界的な観光都市となりました。ドバイ統計センターによると、ドバイ人の平均世帯年収は866,890 UAEディルハム、日本円で約2,600万円。いわゆる「タックスヘブン」で、所得税はありません。

 

さて、そのようなドバイ市民のサプリメント利用実態は、どのようなものでしょうか。

 

調査によると、ドバイ市民の半数以上がサプリメントを利用し、人気のあるサプリメントは、ビタミン類、ミネラル類、食物繊維、ハーブ、ボタニカル(植物性)サプリメント、アミノ酸であることが分かりました。

さらに健康状態を解析すると、サプリメント利用者の方が、非利用者よりも良好な健康状態であることが確認されています。また、今後の展望として、国によるサプリメントの制度化についても検討されているということです。

 

中東の国UAEにおいても、より良いサプリメント利用環境の整備が期待されているようです。

マルチビタミンサプリ

出典:J Prim Care Community Health. 2020 Jan-Dec;11:2150132720911303.

URLhttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7052461/pdf/10.1177_2150132720911303.pdf

思わぬ危険も!上手にハーブを使用するために!

 

こんにちは!

サプリメントアドバイザーのヒロキです。

今回のテーマは「ハーブ」です。

 

ハーブとは、一般的に料理の香り付けや、保存料、薬、香料、防虫などに利用される有用植物の総称です。種子、実、根、樹皮などは香辛料として使用されることもあります。

 

日本でも、ハーブは煎じて飲むなど、香りに鎮静作用があるもあり、広く定着しています。

アメリカにおいてハーブは、サプリメントの一つのカテゴリーとして位置づけられ、近年、ハーブ市場は、ここ10年で83%の急成長を見せています。

 

ハーブには、「天然由来」「自然」というイメージがあります。
多くの消費者は「ナチュラル」なものは、より高品質でより安全なものと受け止めていますが、実は、自然、天然成分ならではのリスクがあることも指摘されています。

 

この問題について、学会誌(Regulatory Toxicology and Pharmacology)に、米国毒性学会2019年大会で行われた自然・天然成分のリスクに関するシンポジウムをまとめた報告書が掲載されました。

 

ハーブを利用している方や、これから使用したいと思っている方には、ぜひ、知っておいて頂きたい情報です。

天然由来成分のリスクを知り、十分注意したうえで、上手にハーブ製品を使用することが重要です。

 

その報告書のタイトルは、

「”天然”と”安全”は、同じ意味ではない。天然成分と医薬品との併用による毒性について」

「”Natural” is not synonymous with “Safe”: Toxicity of natural products alone and in combination with pharmaceutical agents.」

です。

報告書によって指摘された点は、次の4点です。

 

●「栄養補助食品健康教育法(DSHEA)」が米国連邦議会で可決されてから25年が経過し、サプリメント市場は急速に拡大した。

●サプリメントのカテゴリーのひとつである「ハーブ」の売上高は、2008年から2018年の10年で、48億ドルから88億ドルへと83%の成長率を遂げた。

●消費者は「ナチュラル(自然)」を「セイフティ(安全)」と同じようにとらえがちであるが、天然由来の成分が毒性を有する可能性があることは、研究者には広く認識されている。さらに天然由来の成分のなかには、医薬品と一緒に摂取されたときに、薬物の性質と代謝、送達に変化を与える可能性があり、本来の医薬品が目的とする治療効果を、増強したり、或いは、妨げてしまう作用を持つことがある。

●しかし、ハーブ製品は、天然由来成分であることから、その毒性に関する関心は低く、摂取の影響やリスクは過小評価されてしまう可能性がある。

 

という内容でした。

栄養強化食品や、ハーブを含むサプリメントは、思わに形で、医薬品の作用に影響を与えてしまう場合があることが指摘されています。

ハーブと薬との飲み合わせなどは、医師などの専門家に相談した方が良いといえるでしょう。

 

一方で、ハーブは、古くから人々の間で愛され、重宝されてきた歴史があります。

ハーブは、心地よい匂いを楽しめるだけでなく、安眠、花粉症、生理痛や貧血、ダイエット、リラックス作用、風邪や筋肉疲労、蚊よけ対策など、様々な場面で利用されてきました。

天然由来成分のリスクを知り、十分注意したうえで、上手にハーブ製品を使用していきましょう。

ハーブ

 

出典:Regul Toxicol Pharmacol. 2020 Mar 18;113:104642.

URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0273230020300684?via%3Dihub

プロバイオティクスを知っていますか?その効果とは!

こんにちは!

サプリメントアドバイザーのヒロキです。

今回の話題は、「プロバイオティクス」です。

プロバイオティクス(Probiotics)とは、人体に良い影響を与える善玉菌などの微生物、または、それらを含む製品や、食品のことをいいます。

人間の体内には多くの微生物が存在しています。それら微生物の体内バランスをベストな状態に保つことが、健康を保つ秘訣であるといわれています。

そのためには、乳酸菌に代表される善玉菌を食品やサプリメントなどの健康食品から、積極的に摂取することで、消化器系のバランスを改善し、病気の発生を未然に抑えることができるとされています。この考えは、抗生物質(アンティバイオティクス)の副作用や、抗生物質によって生まれた耐性菌の発生に対抗しようとする考え方から生まれたものです。

こうしたなか、高血圧治療に関する専門学術誌(Current Hypertension Reports)に、プロバイオサプリを摂取した際の効果を評価したレビュー論文が掲載されました。

論文のタイトルは、

「高血圧患者に対するプロバイオティクスの効果:系統的レビューとメタ分析」

「Effects of Probiotics on Patients with Hypertension: a Systematic Review and Meta-analysis.」

です。

この研究の目的は、高血圧患者がプロバイオティクスサプリメントを摂取した場合の、血圧やボディマスインデックス(BMI)、および血糖値に与える影響を評価することです。

 

調査分析方法として、研究チームは、医学論文のデータベースを利用し、高血圧患者のプロバイオティクスサプリメント摂取に関する先行研究を抽出調査しました。データベース(PubMed、Cochrane、Embase、ProQuest)を使用し、医学科学用語および自由記載語を組み合わせて、データベース開始から2020年1月20日までに収載された論文を検索しました。抽出された論文は研究の質を評価し、統計学の手法により各研究間の不均一性を補正した。 その結果、2002年から2019年の間に発表された14報の研究論文を分析対象としました。
抽出をもとに、総勢846人の高血圧患者の研究データを調査しました。

調査結果は、

プロバイオティクスの摂取により、
収縮期血圧は-2.05 mmHg(95%CI:-3.87、-0.24、P = 0.03)
拡張期血圧は-1.26 mmHg(95%CI:-2.51、-0.004、P = 0.047)
体格指数(BMI)は-1.03(95 %CI:-1.28、-0.97、P <0.01)
血糖値は-0.18 mmol / L(95%CI:-0.30、-0.05、P = 0.007)
となり、低減作用が確認されました。

本研究により、高血圧患者、特に糖尿病を合併する患者のプロバイオティックサプリメント摂取が、収縮期血圧、拡張期血圧の両方を有意に減少させることが確認できました。

また、プロバイオティクスのサプリメントの摂取がBMI値および血糖値を下げる効果があることも同時に確認されました。

最近は、腸内細菌叢の認知が進み、プロバイオの整腸作用や免疫やアレルギーに対する有効性は、広く浸透してきました。

今回の研究発表により、腸内環境改善を介した、血圧や血糖値、肥満への作用も明らかになり、プロバイオの生活習慣病の予防や、改善作用が、今後、注目されていくと思われます。

日常生活において、プロバイオの効果を得るためには、納豆などの発酵食品や、ヨーグルトなどの乳製品を食生活に取り入れることが良いとされています。
また、善玉菌は、同じものを摂るよりも、多種多様なものを摂ることが重要だと言われています。
ぜひ、プロバイオを習慣化して、続けていきましょう。

プロバイオの多様な機能性に、ますます期待が高まっています。

プシュケー16種類乳酸菌と24種類の酵母の濃縮エキス

おなかの健康

出典:Curr Hypertens Rep. 2020 Mar 21;22(5):33.

URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s11906-020-01041-5

 

 

 

知らないと損!魚が育ち盛りの子どもの脳に与える影響とは?


こんにちは!

サプリメントアドバイザーのヒロキです。

 

今回のテーマは、魚です!

魚には、脂肪酸が豊富に含まれています。その中の有用な成分としてDHAやEPAがあります。

それらには、血液をサラサラにしたり認知機能への効果など、

近年、その高い栄養効果に注目が集まっています。

 

特に、高齢者の認知機能低下の抑制、小児の脳の発達と、

魚の摂取量の関係を調べる研究が盛んに行われています。

 

今回は、オックスフォード大学出版局が運営する「オックスフォードアカデミック」に掲載された研究論文です。

 

テーマは、

「健康な8~9歳の小児における認知的および社会情緒的機能に及ぼす油性魚の摂取の影響:ジュニア無作為抽出試験」

Effects of oily fish intake on cognitive and socioemotional function in healthy 8–9-year-old children: the FiSK Junior randomized trial

です。

さて、どのような結果が出たのでしょうか!

まず、今回の研究を行う背景として、魚に含まれている長鎖不飽和脂肪酸を、小児期が摂取する場合、それらが脳に蓄積され、脳機能の発達に影響を与えるということは知られていたが、小児を対象とした認知機能および社会情動機能に対する長鎖不飽和脂肪酸の無作為比較試験に関する従来の研究では、一貫した結果は確認されておらず、魚の摂取が認知機能や社会情動機能に及ぼす影響を十分に評価したとはいえない。という認識が存在していました。

 

今回の、研究目的は、脂ののった魚の摂取が小児の認知機能および社会情動に及ぼす影響を数値的スコアとして評価し、また、その影響に性差があるかを検討することとしました。

具体的な、方法として、

8~9歳の健常児(n = 199)を無作為に2群に振り分け、12週間の追跡をおこなった。2群はそれぞれ、1週あたり300gの脂ののった魚を摂取する群と、一方は鶏肉を摂取する群とし、研究開始時および研究終了時に注意力、情報処理速度、実行機能、記憶、感情、行動といった、認識機能に関するテストと自記式質問紙調査により評価した。さらに、赤血球の脂肪酸組成を分析した。

結果として現れた数値は、

197人(99%)の小児が試験を完了し、魚を摂取した群の小児は、1週あたり約375グラムの脂ののった魚を摂取した。

脂ののった魚を摂取した群は鶏肉を摂取した群に比べ、赤血球に占める長鎖不飽和脂肪酸の割合が2.3%ポイント(95%CI:1.9-2.6)高くなった。

全体的な認知機能スコアは、鶏肉を摂取した群と比較して魚を摂取した群では0.17ポイント(95%CI:-0.01-0.35)向上していることが確認された。

これは長鎖不飽和脂肪酸の摂取により、認知機能スコアは量依存的に改善することを示唆していた。

また、「注意力」に関する項目については、エラーの減少が確認された(-1.9(95%CI:-3.4- -0.3))。さらに「注意力」に追随して生じる認知の「柔軟性」については、反応がより速くなっており、認知の「柔軟性」が改善したことが示唆された(-51(95%CI:-94- -7))。

魚を摂取した群では、全体的な情動による問題発生が抑制される傾向を反映して、保護者が評価した総合的な課題スコアの減少が確認された(-0.89)。よって内向化課題のスコアが減少(-0.63(95%CI:-1.11、-0.16))した。

脂の乗った魚を摂取することによる総合的な影響は男女ともに類似したものであった。

 

本研究が示した結論は、以下の4点です。

 

・脂ののった魚の摂取量に比例して、認知機能が向上していたことが示唆された。

・特に注意力と認知の柔軟性の向上、社会情動的な課題の軽減に寄与していた。

・男女の差、無く同じ結果が得られた。

・本研究の結果は、小児の脳機能向上をもたらす長鎖不飽和脂肪酸の摂取の重要性を明らかにした。

※試験はアメリカ連邦政府の臨床研究登録制度で登録済みとなっている。(NCT02809508)

 

この研究によって、脂ののった魚を成長期の子ども達に食べさせる重要性が明らかになりました。

特に、魚に豊富に含まれている栄養成分、DHAやEPAは、育ち盛りの子どもの脳機能の発達にとても重要です。

肉類と違って魚には骨などがあり、子どもが食べづらいと感じて苦手意識を持ってしまう場合が多いかもしれません。

どうしても、魚が苦手な子どもには、サプリメントなどを取り入れてみてはいかがでしょうか。

ぜひ、脂ののった魚を積極的に子どものメニューに加えてみましょう!

勉強・お仕事冴えさえ

【参考文献】

Effects of oily fish intake on cognitive and socioemotional function in healthy 8–9-year-old children: the FiSK Junior randomized trial

https://academic.oup.com/ajcn/article/112/1/74/5855515