ビタミンAとは

 

 

【ビタミンAとは】

ビタミンAは油に溶けやすい脂溶性ビタミンで、主に肉などの動物性食品に含まれています。また、緑黄色野菜から摂取されるβ(ベータ)-カロテンなどのカロテノイドは、体内でビタミンAに変換されます。このように体内でビタミンAに変換されるものを総称してプロビタミンAと呼びます。ビタミンAの生理作用を起こすプロビタミンAは、およそ50種類ほどが確認されています。

ビタミンAは、肌の健康維持、暗いところで目が慣れるようになる視覚の暗順応、さらに鼻や喉などの粘膜に働いて細菌から体を守ったり、発育を促進したりなど、たくさんの重要な役割を担っています。

 

【効果】

ビタミンAを皮膚に塗布すると、肌のハリと弾力の維持にとても大事なコラーゲンとエラスチンの合成が促進され、シワが減少し皮膚の弾力性が高まる効果が認められています。ビタミンAだ代謝することによって作られるるレチノイン酸は、体内に必要な水分を蓄える役割を果たすムコ多糖の生合成を促進し、細胞膜を増強するといわれています。日本では、医薬部外品の化粧品に配合されたビタミンAのシワ改善作用を、効能として明示することが、厚生労働省によって承認されています。

ビタミンAが不足すると、暗いところで目が見えなくなる“とり目”がおこることが知られています。他の不足症状として、粘膜の乾燥や角質化などが起こるために、ウイルスに対する抵抗力が弱まって感染症にかかりやすくなります。

 一方、ビタミンAをとり過ぎてしまうと、肝臓に蓄積されて肝障害などをおこす恐れがあります。通常の食事において摂り過ぎる心配はありませんが、サプリメントやビタミン剤を摂取する場合は使用量の目安をきちんと守りましょう。

 

【一日の所要量】

厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において、基準となるビタミンAの摂取量が記載されています。

性別 男性 女性
年齢等 推奨量2 目安量3 耐容 推奨量2 目安量3 耐容
(RDA) (AI) 上限量3 (RDA) (AI) 上限量3
(UL) (UL)
0~5 (月) 300 600 300 600
6~11 (月) 400 600 400 600
1~2 (歳) 400 600 350 600
3~5 (歳) 450 700 500 850
6~7 (歳) 400 950 400 1,200
8~9 (歳) 500 1,200 500 1,500
10~11 (歳) 600 1,500 600 1,900
12~14 (歳) 800 2,100 700 2,500
15~17 (歳) 900 2,500 650 2,800
18~29 (歳) 850 2,700 650 2,700
30~49 (歳) 900 2,700 700 2,700
50~64 (歳) 900 2,700 700 2,700
65~74 (歳) 850 2,700 700 2,700
75以上 (歳) 800 2,700 650 2,700
妊婦 (付加量)
初期・中期
後期
0
80
授乳婦 (付加量) 450

30歳から49歳の女性の1日のビタミンの目安摂取量は、ビタミンA 540 µg(妊婦 600 µg)程度と考えてください。ビタミンAは、健康障害をもたらすリスクがないとみなされる摂取量の上限「耐容上限量」が定められています。
1日の耐容上限量は18~69歳の男性で、2700μgRAE、女性で2700μgRAEとされています。なお、耐容上限量は健康障害を引き起こすことがない上限量で、これを超えて摂取しても、必ずしも障害を起こすわけではありません。また、カロテノイドを食事から摂取する場合では、体内でのビタミンAへの変換が調整されるために、ビタミンA特有の過剰症は心配ないとされています。

 

【食物からの摂取】

ビタミンAを豊富に含む食品は、レバー、うなぎ、バター、マーガリン、チーズ、卵。そして、ビタミンA前駆体のβ-カロテンを多く含む食物には、緑黄色野菜があります。例えばニンジン、ピーマン、ホウレンソウ、コマツナ、カボチャなどです。ビタミンAは高温において酸化・分解を受けやすく、また、油脂に溶ける性質があるので、油といっしょに調理すると摂取効率が良くなります。たとえば、短時間で調理でき、たくさん野菜がとれるバター炒めなどは良い調理法のひとつです。ビタミンAが動物性食品に多く含まれるのに対し、β-カロテンは緑黄色野菜や海草に多く含まれ、体内のビタミンAが十分ならビタミンAに変化しないため、過剰摂取の心配はありません。

 

【供給源になる主な食べもの】

では、ビタミンAを食品から摂取する場合、各食品をどの程度摂取したらよいのでしょうか。

各食品を100グラム摂取した際のビタミンAの含有量が日本食品標準成分表2015年版 (七訂)」のデータに示されています。

 

食品名成分量100g/μg食品名成分量100g/μg
タラ(肝)37000しそ(生)880
豚レバー(生)13000青汁(ケール)860
アンコウ(肝)8300モロヘイヤ(生)840
八目ウナギかば焼き8200食塩不使用バター800
あゆ(焼き)6000ほうれん草(茹で)720
うなぎ(肝)4400ひとえぐさ(素干し)710
味付けのり2700鮭すじこ670
うなぎ(生)2400卵黄(茹で)630
抹茶2400バジル(生)520
パセリ(乾燥)2300ちぢみゆきな(茹で)500
焼きのり2300よもぎ(茹で)500
ほたるいか(茹で)1900マンゴー(乾燥)500
ぎんだら(水煮)1800こい(生)500
うなぎ(かば焼き)1500西洋かぼちゃ(茹で)450
とうがらし(乾燥)1500しゅんぎく(茹で)440
本マグロ(生)1100にら370
にんじん1100アイスクリーム (高脂肪) 100
フォアグラ(茹で)1000みかん84
あなご(蒸し)890さば缶詰 (みそ煮)42

 

【まとめ】

ビタミンAは、現在の日本においては、通常の食生活で欠乏症となることは少ないようですが、偏った食生活が長くなり、ビタミンAが不足してしまうと、皮膚の粘膜が弱くなったり、目の調節機能に影響が出てしまいます。

ビタミンAは、β-カロテンとして緑黄色野菜などから積極的摂取することをおすすめします。ビタミンAの前駆体であるβ-カロテンは大量に摂取しても健康障害を起こすことはなく安全です。
また、新鮮な野菜などが十分に摂れない時などは、サプリメントなどを有効に活用して体調維持に努めることも効果的です。

 

ビタミンA(ベータカロテン)

 

 

 

 

ビタミンC

 

ビタミンC(アスコルビン酸)

 

ビタミンCは、サプリメントに関するアンケート調査の結果において、「知っている栄養素」「興味・関心のある栄養素」「摂取したい栄養素」「普段、摂取している栄養素」いずれの設問においても、他の主要な栄養素を抑えてNo.1となりました。(1)

ビタミンCは、多くの方に知られている栄養素の代表格と言えるでしょう。

健康や美容のために意識的に摂りたいビタミンC。食生活の偏りなどで、不足している方が多いのではないでしょうか。実は、ビタミンCには、とても多くの有用な働きがあるんです!

そこで今回は、ビタミンCの役割や体の中での働きについて解説いたします。

 

【ビタミンCの体内での働き】

 ビタミンCは、化学名称ではアスコルビン酸とも呼ばれています。そんなビタミンCは、からだの中で様々な働きをしています。

   ①免疫機能を高め風邪をひきにくくする

   ②コラーゲンの生成を促す

   ③メラニン生成を抑制する

   ④鉄の吸収を高める

   ⑤カルシウムの吸収と代謝に関与する

   ⑥アミノ酸の代謝に関与する

   ⑦糖の代謝に関与する

   ⑧アレルギー反応で生じるヒスタミンの放出を抑える

   ⑨ストレスを軽減するホルモンの生成を促す

   ⑩アルコールの分解を助ける

   ⑪タバコの毒性の無毒化を促す

   ⑫血液中のコレステロール値を低下させる

   ⑬抗酸化作用がある

   ⑭乗り物酔いに対して効果がある

と、こんなに多くの役割があります。それでは説明していきます。

 

①免疫機能を高める

ビタミンCには、身体に侵入したウイルスの核酸を破壊し、ウイルスそのものを攻撃するインターフェロンの生産を促進する効果があります。(2)ビタミンCは免機能を高めて風邪をひきにくくし、風邪をひいたとしても早く治す効果があります。(3)

風邪をひきやすい人は血中のビタミンC濃度が低いことや、風邪をひいたときには低かったビタミンC濃度が、回復するにつれて徐々に高くなるということがわかっています。また、ビタミンCは、コラーゲン生成に関わっており、細胞がしっかり固められることによって、風邪などのウイルスを体内に侵入させにくくします。

 

②コラーゲンの生成を促す

ビタミンCは、体内でコラーゲンを合成する際に、酵素の働きを助ける補酵素として働きます。コラーゲンは、からだのタンパク質の1/3を占める重要なタンパク質です。細胞と細胞をつなぐ接着剤のような働きをし、細胞同士の結合を強め、血管や筋肉、皮膚、骨、歯などを丈夫に保ちます。ビタミンCが不足すると、細胞同士が離れやすくなります。そのため、血管や粘膜、皮膚などがゆるみ、出血しやすくなったり、肌のハリを失いやすくなったり、傷が治りにくくなるなどの状態になります。ビタミンCと一緒に、タンパク質、鉄を十分に摂ことが、美しい素肌や丈夫な骨を保つためには重要です。

 

③メラニン生成を抑制する

ビタミンCは、美白・美肌の美容効果が期待できるビタミンの代表的存在です。
ビタミンCは、皮膚のメラニン色素の生成、沈着を抑え、シミやソバカス、日焼けを防ぐ効果があります。人間の皮膚は、紫外線を受けるとチロシンというアミノ酸が、チロシナーゼという酵素の働きによってメラニンという黒い色素に変化ます。このメラニン色素が皮膚に沈着することにり、シミやそばかすが起こります。ビタミンCはチロシナーゼの働きを阻害し、メラニン色素の沈着を防ぐことで、透明感のある美白効果が期待できます。

また、ビタミンCは、コラーゲンの合成も助けるので、肌のしわを防ぐ効果もあることから、化粧水や美容液の配合成分としても活用されています。

 

④鉄の吸収を高める

ビタミンCは、食事からの鉄分を吸収しやすい形に変化させることで、体内への吸収率を高める効果があるため、貧血の予防に役立ちます。吸収されにくい牛乳や卵、野菜に含まれる鉄も、ビタミンCによって吸収や、利用効率が高まります。 すでに鉄欠乏性貧血になった人の治療には鉄剤が最も効果的ですが、予防にはビタミンCをたっぷり摂ることが大切です。

ビタミンCと同時に、タンパク質を多く含む食品を一緒に摂ることで、貧血を予防する効果が一層期待できます。

 

⑤カルシウムの吸収と代謝に関与する

実は、カルシウムは、体内への吸収率が悪い栄養素で、含まれている食品ごとに体内への吸収率が異なります。摂取したカルシウム量の内、牛乳は約40%、小魚は約33%、野菜類においては約19%しか吸収されないと言われています。カルシウムは、ビタミンCや、ビタミンD、ビタミンK、マグネシウムと一緒に食べることで吸収率を上げることができます。

 

⑥アミノ酸の代謝に関与する

リバウンドの起こりづらいダイエットを目指すには、筋肉を保ったまま、余分な脂肪のみ燃焼させることが重要です。そためには、脂肪の燃焼を促進するアミノ酸の一種であるカルニチンが必要になります。カルニチンはリジンというアミノ酸からつくられますが、このときに、必要となるのがビタミンCです。

効率よく体脂肪を減らすには、適度な運動とタンパク質、そして、ビタミンCの摂取が大切です!

 

⑦アレルギー反応で生じるヒスタミンの放出を抑える

ヒスタミンは、花粉症に限らず、気管支喘息や鼻炎、蕁麻疹などのアレルギー反応の原因物質であること言われています。

ビタミンCには、体内へのヒスタミンの放出や働きを抑える作用があります。(4)実際に、血中ビタミンC濃度が高い人はヒスタミンが少なく、血中ヒスタミンの多い人がビタミンCを摂取することによって、ヒスタミンが減少することがわかっています。アレルギー体質の人はビタミンCを十分に摂取することによって、体質の改善が期待できます。

また、乗り物酔いは、ヒスタミンが関係しているといわれています。多くの乗り物酔い薬には抗ヒスタミン薬が主成分として配合されています。抗ヒスタミン薬の主成分がヒスタミンによる中枢神経への刺激をブロックし、混乱する脳を鎮静し症状を抑えます。ビタミンCにもヒスタミンを減少させる働きがあることから、乗り物酔いに対して効果があると報告されています。(6)乗り物酔いが気になる方は、ビタミンCの十分な摂取をおススメいたします。

 

⑧ストレスを軽減するホルモンの生成を促す

ビタミンCは、ストレスに対抗するためにも欠かせません。ビタミンCはストレスから体を守るホルモンを合成する際に必要とされます。 このホルモンを分泌しているのは、副腎です。 副腎には、高濃度のビタミンCが貯蔵されています。 しかしストレスが加わると、副腎中のビタミンC濃度は急激に低下することがわかっています。抗ストレスホルモンを作るためにビタミンCが大量に使用されるためです。

副腎のビタミンCが不足すると、抗ストレスホルモンが充分に作られず、ストレスに対抗する抵抗力が弱まります。ストレスは、緊張などの精神的なストレスだけではなく、寒さ、暑さや睡眠不足、喫煙などもストレスの原因です。激しい運動や、病原菌に感染した時も通常よりビタミンCの必要量が増加します。ストレスにさらされやすい環境で生活をしている方は、充分なビタミンCを摂ることが大切です。

 

⑨アルコールの分解を助ける

肝臓では、アルコールを分解するために、酵素が働き、アルコールは、アセトアルデヒド、そして、酢酸へと代謝され、最終的に水と二酸化炭素に分解されます。

この代謝の過程で発生するアセトアルデヒドが、二日酔いの症状の原因となります。

ビタミンCには、アセトアルデヒドを代謝する酵素を活性化させる働きがあります。そのため、ビタミンCが十分に補給されていれば肝臓でのアセトアルデヒド代謝のスピードも速くなり、二日酔いの症状から速く抜け出すことができます。

 

⑩タバコの毒性の無毒化を促す

タバコを吸うと、ニコチンなど多くの有害物質が体内に送り込まれ、それを分解するために多量の活性酸素が発生します。その際に消費されるのがビタミンCです。

1本のタバコを吸うと、ビタミンCの一日の必要量である100mgの約半分の25~50mg程度が失われてしまいます。体内に貯蔵されているビタミンCは約1,500mg程度といわれ、タバコを1日20本吸うと、500~1000mgものビタミンCが消費されてしまいます。

このためタバコを吸う人は吸わない人に比べ、約2倍のビタミンCが必要になります。

 

⑪血液中のコレステロール値を低下させる

 脂肪分を摂り過ぎると、血中のコレステロール量が増え、動脈硬化や高血圧などを引き起こします。 このような高コレステロール血症の人でも、ビタミンCの充分な摂取でコレステロール値が下がることが報告されています。血中のコレステロールは血管にとってよい善玉のHDLコレステロールと、血管にとって悪い影響を与える悪玉のLDLコレステロールに分けられます。ビタミンCは、この善玉HDLコレステロールを増やし、さらに、悪玉のLDLコレステロールが血管に沈着し硬化するのを防ぐ働きがあります。また、コレステロールは、最終的に肝臓から胆汁を介して体外に排泄されますが、この胆汁酸をつくる際にビタミンCが必要となります。また、動脈硬化の予防には、ビタミンEやビタミンB2を一緒に摂ることが効果的とされています。コレステロールの気になる人は、ビタミンCを充分に補給することをおススメめします。

 

⑫ビタミンCは抗酸化作用がある

ビタミンCの抗酸化作用は、ビタミンCの分子から水素が離れやすいために起こります。この離れた水素がほかの物質を還元します。

ビタミンCは、その高い抗酸化作用から、活性酸素が原因の白内障の予防に効果があるとされています。白内障は、目の水晶体のたんぱく質が変性し、もとは透明であった水晶体が白く濁ってしまう病気です。ビタミンCと白内障の関係に関する研究では、1日260mg以上のビタミンC摂取で白内障の予防効果が得られたとの報告があります。(5)

また、ビタミンCは、体内のビタミンEを甦らせるなどの抗酸化作用もあり、有害な活性酸素から体を守る働きが期待されています。

 

【人はなぜ、ビタミンCを食べ物から摂ることが必要なのでしょうか?】

犬や牛など多くの哺乳動物は、体内でブドウ糖からビタミンCを作り出す能力があります。しかし、ヒトやサルなどは体内でビタミンCをつくることができません。人は健康維持のために必ず食事からビタミンCを摂る必要があるのです。ビタミンCは、胃で消化されずに、そのまま小腸から吸収されます。そして血液にのって体内のさまざまな組織に運ばれ、必要なときに使われます。ビタミンCは、からだ中のあらゆる場所に存在していますが、特に副腎、下垂体、水晶体にたくさん分布しています。

 

【ビタミンCの摂取量】

厚生労働省が発表した2020年版食事摂取基準において、ビタミンCは、成人では1日の推奨量が100㎎と設定されています。また、通常の食事による過剰摂取の報告はないため、耐容上限量は定められていません。ビタミンCの吸収率は通常約90%と高いが、過剰に摂取した場合には吸収率が低下し、2~3時間で尿から出てしまいます。体内には蓄積されないため、一般的には有害な過剰症はないといわれているので、取りすぎの心配は、あまり気にする必要はありません。通常、ビタミンCの体内貯蔵量は、約1,500㎎といわれており、体内貯蔵量が300㎎以下になると壊血病の兆候が現れるようです。

 

【ビタミンCの欠乏症】

16~18世紀の大航海時代、船員は長期に渡って新鮮な食材を食べることができませんでした。そのため、多くの船員が壊血病で命を落としました。壊血病はビタミンC不足のため、全身の血管がもろくなって出血する病気です。

1753年、イギリスの海軍医ジェームズ・リンドが、食事環境が比較的良好な高級船員の発症者が少ないことに着目し、新鮮な野菜や果物、特にミカンやレモンを摂ることによってこの病気の予防ができることを見出しました。ビタミンCが不足すると、疲れやすくなる、風邪や感染症にかかりやすくなる、肌のハリが失われる、貧血になりやすくなる、といったことが起こります。

さらにビタミンCの不足が続くと、体をつくるたんぱく質のひとつ、コラーゲンを十分に生成することができず、体中の血管、粘膜、皮膚組織の結合が弱くなって出血が止まらなくなる恐れがあります。小児の場合はメーラー・バーロー症といい、骨の形成・発育に支障をきたすこともあります。また、成人もビタミンCが不足することで骨粗しょう症や食欲不振といった症状もみられます。

 

【食べ物からの摂取】

ビタミンCが豊富に含まれている食べ物は、かんきつ類などの果物、野菜、緑茶などです。ビタミンCは水に溶けやすく熱に弱いので、洗いすぎたり、ゆですぎたりせずに、できるだけ生で食べるのが良い方法です。じゃがいもやさつまいもなどに含まれているビタミンCは、でんぷんにより保護されているため、加熱調理後も比較的分解されずに残ります。

 

【ビタミンCの種類】

身体にとってとてもいい効果をもたらすビタミンC!でも、そのビタミンCも万能ではありません。実はビタミンCは、水溶性であることから、そのほとんどは、約2〜3時間で体外に尿として排出されてしまいます。体内に留まっている時間は意外に短いのです。そしてもう一点は、胃が荒れやすいデリケートなおなかを持つ方にとって、ビタミンCの酸味が気になるという点です。

しかし近年、これらのビタミンCの弱点をカバーしたサプリメントが開発されています。大きく分けると、アスコルビン酸カルシウムタイプと、脂溶性ビタミンCタイプの2タイプです。これらは、おなかへの負担を減らしたうえで、長時間に渡って留まり体内の隅々まで行き渡る、高吸収型のビタミンCです。

 

◎アスコルビン酸カルシウムタイプ

アスコルビン酸カルシウムタイプの特徴は、他のビタミンCに比べ、安定型になっているため、体内に長くとどまるので、思う存分にビタミンC特有のはたらきを発揮してくれるのです。

通常のアスコルビン酸にカルシウムを結び付け(アスコルビン酸カルシウム)、さらに特殊な加工を施して酸性度を調節しているので、デリケートなおなかを持つ方のビタミンC摂取に最適です。

特許取得の特別な製法で、時間をかけて吸収されるよう加工された新型のビタミンCなので、今まで叶わなかった肌の奥深くまでとどくことで、シミの元メラニンへの働きかけと潤いキープが期待されます。また、免疫力に働きかけることから、季節の変わり目などの風邪予防にも活用されています。また、胃に負担がかからないよう加工がされているため、胃が荒れやすい方や、シミやくすみなどの肌トラブルケアや若々しく健康な毎日を送りたい方に役立ちます。

 

◎脂溶性ビタミンC

通常ビタミンCと言えば水溶性ビタミンCを指します。しかし、水溶性のビタミンは、長時間体内に蓄えておくことができません。そこで、近年注目されているが、脂溶性ビタミンCです。脂溶性のビタミンCは、吸収率が良い上に脂質である細胞膜内に長時間蓄積されるので、必要な時に持続的に効果を発揮します。持続性は従来のビタミンCの約4倍です。また、通常ビタミンCは、酸性であるのに対し、脂溶性ビタミンCは中性なので、胃への負担が極めて少ないのが特長です。

脂溶性ビタミンCは、水溶性ビタミンCの弱点を克服したビタミンCと言えます。

 

【まとめ】

ビタミンCは、数ある栄養素の中でも知名度が抜群なだけではなく、

身体への貢献度もナンバーワンといってもよい栄養素です。

長期間に渡って不足してしまうと健康を損なう恐れもあります。

最近、少し疲れが溜まっているかなぁ…と感じたときには、

ビタミンCが豊富に含まれた食品やサプリメントを充分に補給して、リフレッシュしてください!

ビタミンC

 

 

【参考文献】

(1)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000016172.html

(2)The effect of ascorbic acid on production of human interferon and the antiviral activity in vitro

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/970135/

(3)Vitamin C for preventing and treating the common cold

   https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23440782/

(4)Antihistamine effect of supplemental ascorbic acid and neutrophil chemotaxis

   https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1578094/

(5)Toward a new recommended dietary allowance for vitamin C based on antioxidant and health effects in humans

   https://academic.oup.com/ajcn/article/69/6/1086/4714888

(6)Impact of oral vitamin C on histamine levels and seasickness

   https://content.iospress.com/download/journal-of-vestibular-research/ves00509?id=journal-of-vestibular-research%2Fves00509

 

炭酸カルシウムとは

 

炭酸カルシウムとは

炭酸カルシウム(calcium carbonate)は、石灰岩や大理石の主成分で貝殻やサンゴ、鶏卵の殻の主要な構成成分です。組成式 CaCO3 で表されるカルシウムの炭酸塩です。

 

炭酸カルシウムは工業製品や医薬品、塗料、プラスチックなどの原料だけでなく、化粧品や歯みがき粉と言った日常生活の身の回りの物に幅広く使われており、安全性が高いことから様々な食品に添加物として使用されています。

炭酸カルシウムは1957年に厚生労働省により食品添加物として指定されました。主な用途としてはカルシウムの強化剤、膨張剤、改良剤、基礎剤の他にも酒の脱酸剤や飴の中和剤として、また、食感改善を目的として菓子やパン、水産練り製品、乳飲料、即席麺等に添加されています。

医薬品としては、胃酸過多に対して制酸剤として用いられます。

 

炭酸カルシウムを含む食品の安全性

2016年3月に食品安全委員会が、炭酸カルシウムの食品添加における健康への影響に関して、各種試験を実施し評価しました。その結果、安全面に問題はないとされています。炭酸カルシウムは、安全が確認された成分であり、食品のカルシウムを強化する目的でサプリメントなどにも利用されています。

 

ミネラル

プラセンタとは

 

プラセンタとは

プラセンタ(placenta)とは、哺乳類の胎児を成長させるための胎盤のことです。主にサプリメントや化粧品に利用されるのは、馬や豚、ウシ、ヒツジなどの動物由来のプラセンタです。最近では、植物の胎座から抽出される植物由来のプラセンタも広く利用されるようになりました。

プラセンタ(胎盤)には、アミノ酸、たんぱく質、糖質、ビタミン類、核酸、ペプチド、ムコ多糖類などの成分が豊富に含まれています。また、プラセンタには、胎児が育っていくための成長因子が豊富に含まれています。成長因子とは、細胞分裂を活性化させる因子のことです。成長因子が細胞を刺激することで、新陳代謝が活発になると考えられています。プラセンタにはこの成長因子の働きを促す働きがあるため、美容や健康に効果があるといわれています。

 

プラセンタの歴史

プラセンタの効果は古くから世界中で注目されており、特にアンチエイジングや肌を美しくする効果が認められています。

プラセンタはクレオパトラや楊貴妃、マリー・アントワネットが美容に愛用したとか、秦の始皇帝が不老不死を求めて使ったと言い伝えられていますが、確たる文献に基づいた史実ではありません。史料にプラセンタの名が初めて登場するのは、739年、唐代の中国『本草拾遺』(ほんぞうしゅうい)の記述になります。
現代においては、プラセンタは、旧ソ連のオデッサ大学教授で眼科医であったV. P. フィラトフ(1875 〜1956)が1920年代に研究を進めた組織療法に端を発します。フィラトフは、埋没療法を実験し、疾病の治癒にはプラセンタを使うと高い成果が得られることを見出しました(1)日本においては、江戸時代に、加賀藩御用達薬種商であった中屋彦十郎薬舗の昆元丹(こげんたん)に、漢方薬と一緒にプラセンタが処方され、民間薬として使われていたとの記録が残っています。

 

プラセンタの効果

プラセンタは、細胞レベルから肌の環境を整えます。しわやたるみ、毛穴の開きなどの肌トラブルを防ぎ、美しい肌へ導く効果が期待されています。

プラセンタには、以下の効果が報告されています。

 

   ・更年期障害やうつ病・不安を減少

   ・更年期障害による女性の肩こりに効果

   ・男性の性機能障害

   ・肝機能の改善

   ・シワの減少効果、角質水分量の増加

   ・疲労倦怠感、肩こり、関節痛、目の疲れ、食欲不振など疲労症状の改善

   ・口の粘り、噛み合わせの痛み、歯肉出血の改善

   ・メラニンの生成を抑え、シミ・ソバカスを防ぐ美白効果

   ・皮膚炎症の改善効果、美肌効果

   ・アトピー性皮膚炎の改善

 

プラセンタの有用性の報告

・豚のプラセンタ抽出物のサプリメントを使った試験では、更年期指数(SMI)やうつ病・不安の指数を減少させ、疲労感や関節痛を緩和する作用が確認されています[2]また、同様の試験で、更年期障害による女性の肩こり、男性の性機能障害、肝機能の改善に効果を示しました [3] [4]

・ヒトプラセンタでは、疲労倦怠感、肩こり、目の疲れ、食欲不振など疲労症状の人を対象として、半数以上に有効性が認められました[5]

・解決しにくい、歯周治療中の不定愁訴を訴えるグループで、豚プラセンタエキスは口の粘り、噛み合わせの痛み、歯肉出血について有意に改善させ、歯肉のそう痒感についても改善しました[6]

 

・プラセンタは、効能の承認を得ている原料では「メラニンの生成を抑え、シミ・ソバカスを防ぐ」を強調表示することができます[7]

 

・2016年の試験では、プラセンタの摂取が、皮膚のきめ・毛穴・発赤部分において改善効果を認める報告もあり、皮膚炎症の改善効果やメラニンの生成抑制効果の可能性があることが示されています[8]

 

・肌は、一定のサイクルで新しく生まれ変わります。この一連の肌の代謝を「ターンオーバー」とよびます。このターンオーバーのサイクルが乱れると、肌トラブルの原因になり、肌荒れやニキビ、吹き出物などが発生します。プラセンタは、ターンオーバーを促進させる効果があることが示されています。

 

・老化架橋とは、中高年になりコラーゲンの生成が衰え、古いコラーゲンが分解されずに余分な架橋としてどんどんつくられることを指します。この余分な老化架橋が増えると、肌の組織が硬くなり、皮膚の水分が失われてシワの原因となります。プラセンタは、細胞傷害の原因となる活性酸素の一種であるスーパーオキサイドを低減し、しわの原因となる老化架橋の形成を抑制する効果もあることから、プラセンタは有望な抗老化素材であるとする報告があります[9]

 

 プラセンタの副作用

現在、プラセンタを原材料とした多くの医薬品や、サプリメント、化粧品などの製品が作られています。医薬品は、開発から販売までは、様々な基礎試験、臨床試験、治験が行われ、その有効性について国が承認したもので、確かな効果が期待できます。
プラセンタは、比較的副作用が少ない製剤ですが、医療機関などで注射などをする場合、下記のような点が確認されています。

 

・注射部位の疼痛

・過敏症(発疹・発熱・掻痒感など)

・注射部位の硬結

・頭痛

・肝機能障害(AST,ALT 上昇など)

 

また、アレルギー体質の患者へは慎重投与となっています[10]が、併用禁忌薬は特に挙げられていません[11]医療機関で使用されているプラセンタ注射薬は、人の胎盤を原料とし特定生物由来製品に指定されています。 特定生物由来製品は、その製造工程から市販後まで様々な安全対策が取られていますが、現状の製造工程で取り除けない未知のウイルスや病原体の存在を完全に否定はできず、感染症などのリスクはゼロとは言えません。 現在、日本でのプラセンタ注射薬による感染症の報告はありませんが、プラセンタ注射薬を打つ際には同意書を書く必要があります。

プラセンタサプリメントや、化粧品においては、購入の際に、原材料と産地を確認することや、SPFや日本健康・栄養食品協会(JHNFA)などの基準を満たしているか、などを確認して選ぶと安心です。

 

 

【参考文献】

(1) プラセンタ療法と統合医療

http://jplaa.jp/pdf/tougou.pdf

(2) Koike, K.; Yamamoto, Y.; Suzuki, N.; et al (2012). “Efficacy of porcine placental extract on climacteric symptoms in peri- and postmenopausal women”. Climacteric 16 (1): 28–35. doi:10.3109/13697137.2012.696290. PMID 22920723.

(3)Koike, K.; Yamamoto, Y.; Suzuki, N.; et al (2012). “Efficacy of porcine placental extract on shoulder stiffness in climacteric women”. Climacteric 16 (4): 447–452. doi:10.3109/13697137.2012.720622. PMID 23113540.

(4)江水保「プラセンタエキス含有ドリンクの性欲および性機能改善効果」『診断と新薬』第48巻第8号、2011年8月28日、 793-801頁。

(5)蜂矢敬彦「不定愁訴症例に対する胎盤成分(K・PE)の内服効果―ビタミンB1内服との比較臨床試験」『薬理と治療』第8巻第2号、 474-486頁。

(6)清水洋利、久保田恵、中西宏彰「歯周治療中の不定愁訴に対する胎盤抽出成分配合サプリメントの効果」『日本統合医療学会誌』第4巻第1号、2011年7月、 51-55頁。

(7)三井幸雄「凍結酵素抽出法を用いたプラセンタエキスの化粧品への応用 (特集 化粧品新素材と原料の新知見(1))」『Fragrance journal』第47巻第3号、2019年3月、 69-72頁。

(8)伊藤公美恵、植竹達雄、斉藤浩二、飯島肇「プラセンタ化粧品の肌への効果 (予備検討試験として)」『臨床医薬』第32巻第7号、2016年7月31日、 593-601頁。

(9)安井裕之、原口知子、望月彩音、石川裕樹、小松靖彦「新規プラセンタエキスの抗老化素材としての評価」『フレグランスジャーナル』第44巻第4号、2016年4月、 36-45頁。

(10)メルスモン 添付文書 メルスモン製薬株式会社 医薬品情報データベース、2016年10月19日閲覧

(11)ラエンネック 添付文書 株式会社日本生物製剤 2016年10月19日閲覧

 

 

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」におけるビタミン類の基準摂取量

 

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」におけるビタミン類の基準摂取量

 

日本人の食事摂取基準は、厚生労働省が、健康な個人または集団を対象として、国民の健康の維持・増進、エネルギー・栄養素欠乏症の予防、生活習慣病の予防、過剰摂取による健康障害の予防を目的として制定したエネルギー及び各栄養素の摂取量の基準です。

栄養士などの専門家向けの利用目的で作成されており、保健所や医療施設などで実施する「栄養指導」や学校や事業所などの「給食」の提供の根拠となる科学的データです。

最新版は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」が発表されています。

日本人の食事摂取基準には、13種類のビタミンについて、一日に必要な摂取量が掲載されています。実際の食生活においてすべてのビタミンを数値通りに摂取することは、なかなか難しいと思いますが、1つの目安として確認してみるのもよいかもしれません。ここでは、13種類のビタミンとそれらの推奨摂取量を水溶性と脂溶性に分けて記載しています。

ぜひ、日常の食生活やサプリメントを利用する際の参考にしてください!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビタミンB群

【参考文献】

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html

 

ルチンとは

ルチンとは

ルチン(Rutin)は、薬草などとして用いられていたミカン科のヘンルーダから発見された柑橘フラボノイドの一種です[1]

 

タデ科のダッタンソバ(韃靼蕎麦)、ソバの実に含まれており、ダッタンソバにはソバの100倍のルチンが含まれています[2]

アスパラガスや、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライムといった柑橘類、クワの実、トネリコの実、クランベリー

といったベリー類にも含まれています。

 

効能と有効性

ルチンは健康によい成分として様々な効能が謳われています。ルチンは、生活習慣病の予防に役立ち、

細菌の侵入を防いだり、ビタミンCの吸収を助ける効果があります。ルチンを含む植物は昔から生薬として利用されていたようです。

 

・抗炎症効果や血流改善効果については数多くの論文にて報告されると同時に、変形性関節症に対する有効性について、

国立健康・栄養研究所の報告でも言及されています[3]

ルチンはビタミンCと一緒に作用し、毛細血管を強化するため[4]、出血性の疾患に効果があります。

脳卒中、歯茎からの出血などを予防したり、血流をスムーズにする働きがあります。

さらに高血圧[5]や動脈硬化、脳血管障害、痔などの予防効果が期待されています。

弾力がなくなった血管をもとの状態に戻す働きがあるので、血液循環や、心臓疾患にも効果があります。

ルチンは、すい臓に作用して、インスリンの分泌を促進するため、糖尿病の予防に効果があります。

さらに、ルチンは抗酸化剤でもある[6]ため、脳細胞の酸化を防ぎ、活性化させることで、

老人性の認知症への効果も期待されています。

 

その他にも、いかに効果が報告されています。

・ドイツのコミッションEにおいても花粉症による炎症の抑制効果について効果が認められている。

・ルチンは血小板凝集を阻害し[7]、毛細血管透過性を減少させることで、抗凝血作用を示し、血行を改善する。

・ルチンは一部の動物やin vitroモデル実験において抗炎症活性を示す[8][9]

・蕎麦に含まれるルチンは、酸化防止[10][11]などの生理活性を有する[2]

・ルチンが痔、静脈怒張、細小血管障害の治療に使用できる[3]

 

1日に必要なルチンは約30mgで、1食分のそばを食べると摂取できます。

ルチンは、そばの実の外殻部分に多く含まれ、特に韃靼そばは、普通のそばの約100倍もルチンがあるといわれています。

また、ルチンは水溶性なので、そばをゆでている間に、ビタミンB₁やビタミンB₂などと一緒に溶け出してしまうため、

そばを食べる場合は、ゆで汁である、そば湯も飲むと効果的です。さらに、そばと一緒に、みかん、などのビタミンCを摂ると、

ルチンの効果がいっそう上がります。

ビタミンB群

【参考文献】

[1]Kreft S, Knapp M, Kreft I (November 1999). “Extraction of rutin from buckwheat (Fagopyrum esculentum Moench) seeds and determination by capillary electrophoresis”. J. Agric. Food Chem. 47 (11): 4649–52. doi:10.1021/jf990186p. PMID 10552865.

[2]安田俊隆、正木和、柏木隆史、ダッタンそば種子に含まれるルチン分解酵素について、日本食品工業学会誌、Vol.39 (1992) No.11 P.994-1000,doi:10.3136/nskkk1962.39.994

[3]「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)

[4]RUSZNYAK, ST. and SZENT-GYORGYI, A.;Nature, 27 (1936)

[5]MATUBARA, Y.ほか: Agric. Biol. Chem., 49, 909 (1985)

[6]Metodiewa, D.; Kochman, A.; Karolczak, S. (1997). “Evidence for antiradical and antioxidant properties of four biologically active N,N-Diethylaminoethyl ethers of flavaone oximes: A comparison with natural polyphenolic flavonoid rutin action”. IUBMB Life 41 (5): 1067–1075. doi:10.1080/15216549700202141.

[7] Navarro-Núñez; et al.; Palomo, M.; Martínez, C.; Vicente, V.; Castillo, J.; Benavente-García, O.; Diaz-Ricart, M. et al. (2008). “Apigenin Inhibits Platelet Adhesion and Thrombus Formation and Synergizes with Aspirin in the Suppression of the Arachidonic Acid Pathway”. J. Agric. Food Chem. 56 (9): 2970–6. doi:10.1021/jf0723209. PMID 18410117.

[8] Guardia; et al.; Juarez, AO; Pelzer, LE (2001). “Anti-inflammatory properties of plant flavonoids. Effects of rutin, quercetin and hesperidin on adjuvant arthritis in rat”. Il Farmaco 56 (9): 683–7. doi:10.1016/S0014-827X(01)01111-9. PMID 11680812.

[9] Chan Hun Jung; et al.; Cho, Chul Hyung; Kim, Chang Jong (2007). “Anti-asthmatic action of quercetin and rutin in conscious guinea-pigs challenged with aerosolized ovalbumin”. Arch. Pharmacal Research 30

[10] AFANAS’EV, I.B.ほか: Biochem. Pharmacol., 38, 1763 (1989)

[11] TOREL, J., CILLARD, J. and CILLARD, P.:Phytochemistry, 25, 383 (1986)

 

 

 

メチルヘスペリジンとは

 

メチルヘスペリジンとは

ヘスペリジン (Hesperidin) は、温州みかんやはっさく、ダイダイなどの果皮および薄皮に多く含まれるフラボノイドです。

フラボノイドとは植物自身が紫外線から身を守る抗酸化作用や、

種子を害虫から守るために抗菌作用や殺菌作用などを持つ物質でポリフェノールの一種に分類されます。

ポリフェノールは、ビタミンPとも呼ばれ、ビタミンと似た働きをする物質です。

 

これまでにヘスペリジンに関するは、様々な薬理作用が報告されています。

コレステロール[1]や血圧[2]を低下させる効果、骨密度の低下を抑制する効果ほか[3]

敗血症に対する保護効果、抗炎症作用[5][6]が示されています[4]

 

その他のヘスペリジンが持つ作用として次の6点があります。

 ①毛細血管を強化し[7]、血管透過性を抑える作用[8][7]

 ②抗アレルギー作用[9][7]

 ③血圧降下作用[7]

 ④血清脂質改善作用[7]

 ⑤抗酸化作用[7]

 ⑥発がん抑制作用 [10]

 

メチルヘスペリジンは、ヘスペリジンをメチル誘導化し水溶性にしたものです。

昭和電工株式会社は、柑橘類由来のヘスペリジンの誘導体「メチルヘスペリジン」に優れた抗糖化作用があることを初めて見出し、アンチエイジング用途の化粧品原料としてサンプル出荷を開始しました。

糖化は、酸化と並んで老化の原因の一つとされており、紫外線などの影響で皮膚のタンパク質が糖化すると、真皮コラーゲンが硬化し肌のハリの低下を招いたり、真皮や角層が黄色化し、肌の透明感が失われたりするとの報告があります。メチルヘスペリジンには、この糖化を抑制することで、老化に伴う肌のたるみに対する防止効果が期待されています[11]

ビタミンB群

 

[1]Monforte MT, Trovato A, Kirjavainen S, Forestieri AM, Galati EM, Lo Curto RB (1995), “Biological effects of hesperidin, a Citrus flavonoid. (note II): hypolipidemic activity on experimental hypercholesterolemia in rat”, Farmaco 50 (9): 595-599, PMID 7495469

[2]Ohtsuki K, Abe A, Mitsuzumi H, Kondo M, Uemura K, Iwasaki Y, Kondo Y (2003), “Glucosyl hesperidin improves serum cholesterol composition and inhibits hypertrophy in vasculature”, J. Nutr. Sci. Vitaminol. 49 (6): 447–50, PMID 14974738

[3]Chiba H, Uehara M, Wu J, Wang X, Masuyama R, Suzuki K, Kanazawa K, Ishimi Y (2003), “Hesperidin, a citrus flavonoid, inhibits bone loss and decreases serum and hepatic lipids in ovariectomized mice”, J. Nutr. 133 (6): 1892–7, PMID 12771335

[4]Kawaguchi K, Kikuchi S, Hasunuma R, Maruyama H, Yoshikawa T, Kumazawa Y (2004), “A citrus flavonoid hesperidin suppresses infection-induced endotoxin shock in mice”, Biol. Pharm. Bull. 27 (5): 679–83, doi:10.1248/bpb.27.679, PMID 15133244

[5]Emim JA, Oliveira AB, Lapa AJ (1994), “Pharmacological evaluation of the anti-inflammatory activity of a citrus bioflavonoid, hesperidin, and the isoflavonoids, duartin and claussequinone, in rats and mice”, J. Pharm. Pharmacol. 46 (2): 118–22, PMID 8021799

[6]Galati EM, Monforte MT, Kirjavainen S, Forestieri AM, Trovato A, Tripodo MM (1994), “Biological effects of hesperidin, a citrus flavonoid. (Note I): antiinflammatory and analgesic activity”, Farmaco 40 (11): 709–12, PMID 7832973

 

[7]柑橘ポリフェノール「糖転移ヘスペリジン」の機能性食品分野における可能性、三皷 仁志、日本食生活学会誌、Vol. 21 (2011) No. 4

[8]Liu L, Xu DM, Cheng YY (2008), “Distinct effects of naringenin and hesperetin on nitric oxide production from endothelial cells”, J. Agric. Food. Chem. 56 (3): 824-829, doi:10.1021/jf0723007, PMID 18197618

[9]Emim JA, Oliveira AB, Lapa AJ (1994), “Pharmacological evaluation of the anti-inflammatory activity of a citrus bioflavonoid, hesperidin, and the isoflavonoids, duartin and claussequinone, in rats and mice”, J. Pharm. Pharmacol. 46 (2): 118-122, PMID 8021799

[10]Miller EG, Peacock JJ, Bourland TC, Taylor SE, Wright JM, Patil BS, Miller EG (2008), “Inhibition of oral carcinogenesis by citrus flavonoids”, Nutr. Cancer 60 (1): 69-74, PMID 18444138

 

[11] メチルヘスペリジン

https://www.sdk.co.jp/products/43/58/13588.html

 

サプリメントとしてのマリーゴールド

 

マリーゴールドとは

マリーゴールド(marigold)は、キク科コウオウソウ属のうち草花として栽培される植物の総称です。

着色剤、観賞用、食用、化粧原料、装飾用として古くから利用されてきました。

また、ハーブとしても利用され、マリーゴールドティーはとても綺麗な黄金色をしています。

 

 

こんな方におすすめです!

○白内障、黄斑変性症の予防

○胃の炎症予防

○女性特有の悩みを改善

 

マリーゴールドの効果・効能

マリーゴールドには、抗酸化作用、抗消炎作用があり、創傷治癒効果に優れ、

古くから万能薬として利用されています。現在においても、さまざまな症状の治療に利用されています。

 

マリーゴールドは、炎症を抑える作用を利用したローションやクリーム、軟膏、肌荒れ、湿疹、

日焼け、軽い傷やヤケド、おむつかぶれ、虫刺され、湿疹や口唇の荒れなどに利用されています。

また、発汗や利尿作用があり、体から毒素を出してくれる作用があるので、

熱をともなう風邪のときには、マリーゴールドティーがオススメです。

 

マリーゴールドに含まれる成分

マリーゴールドの花弁には、カロテノイドの一種ルテインが豊富に含まれています。

ルテインには、抗炎症作用があり、テレビやパソコンから発せられる目に有害なブルーライトや紫外線から目を守る働きをします。

 白内障の原因のひとつに活性酸素が挙げられます。また、黄斑変性症は、

ものが歪んで見えたり見えにくくなったりといった症状が表れる疾患です。

加齢などによってルテイン濃度が低下すると、発症しやすくなります。どちらもルテインの摂取が予防に有効です。

 

花びらに含まれるヘレニエンという色素は、網膜の好気的代謝を促進することから、

暗順応改善薬の原料として目薬に用いられています。第二次世界大戦中にドイツのバイエル社が、

マリーゴールドの花びらから抽出した成分に高い暗順応改善効果があることを発見し、

ヘレニエンを有効成分とする暗順応改善薬が作られ、この薬は現在でも目の薬として使用されています。

 

胃炎や胃潰瘍を緩和する効果

マリーゴールドの抗炎症作用は肌だけでなく、胃炎や胃潰瘍など、粘膜の炎症を緩和するのにも役立ちます。

 

女性特有の悩みを改善する効果

マリーゴールドは、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンに似た働きを持つ成分を含み、

生理のサイクルを整えるのに役立つと言われています。

その他、使い方は万能で、ハーブティーとしてはもちろん、マリーゴールドにはデトックス効果もあるため、

肌荒れやニキビにも使用されています。

ビタミンB群

 

【参考文献】

(1)Lutein: more than just a filter for blue light

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22465791/

(2)Treanntment of duodenal ulcers and gastroduodenitis with a herbal combination of Symphitum officinalis and Calendula officinalis with and without antacids

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7336704/

(3)Pharmacology of calenduloside B, a new triterpene glycoside from the roots of Calendula officinalis

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/700077/

(4)Shipochliev T, Dimitrov A, Aleksandrova E. (1981) “[Anti-inflammatory action of a group of plant extracts].” Vet Med Nauki. 1981;18(6):87-94.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7199215/

(5)Ozawa Y, Sasaki M, Takahashi N, Kamoshita M, Miyake S, Tsubota K. (2012) “Neuroprotective effects of lutein in the retina.” Curr Pharm Des. 2012;18(1):51-6.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22211688/

(6)Ribaya-Mercado JD, Blumberg JB. (2004) “Lutein and zeaxanthin and their potential roles in disease prevention.” J Am Coll Nutr. 2004 Dec;23(6 Suppl):567S-587S.
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/07315724.2004.10719427?journalCode=uacn20

(7)Bhosale P, Zhao da Y, Bernstein PS. (2007) “HPLC measurement of ocular carotenoid levels in human donor eyes in the lutein supplementation era.” Invest Ophthalmol Vis Sci. 2007 Feb;48(2):543-9.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17251448/

 

 

 

ベタインとは

ベタインとは

 

ベタイン(betaine)は、トリメチルグリシン(TMG)とも呼ばれるアミノ酸の一種です。

ベタインは、甘みや旨味成分として食品添加物や、調味料に用いられています。

またベタインは植物や水産物などに広く含まれる天然物質で、保湿などに関係しています。

天然アミノ酸系保湿裁剤として化粧品やシャンプーなどにも使用されています。

 

ベタインの効果

 ◎胃の健康を維持する効果

 ◎肝機能を高める効果

 ◎動脈硬化、糖尿病の予防

 ◎肌や髪の状態を保つ効果

 

ベタインは肝臓へ脂肪の沈着を防ぎ、脂肪の排出を促進することから、脂肪肝を抑制する効果があります。

さらに、脂肪肝の肝臓に対して解毒作用のあるグルタチオンの産生を促進する働きがあることから、

肝硬変や肝炎、肝ガンの進行抑制が期待できます(1)(2)(3)

 

動脈硬化の原因物質のひとつに、ホモシステインがあります。ホモシステインは、肝臓で行われるアミノ酸の代謝過程で、中間体として自然に作られる物質です。

しかし、体質や食習慣により血液中のホモシステイン量が過剰になると、血液中の過剰なホモシステインは血管拡張の阻害や、血栓の進行促進、血管硬化などを引き起こす原因になります。

ベタインはホモシステインが分解される際に働く物質であることから、動脈硬化を防ぐ働きが期待できます(4)

 

ベタインは、糖が小腸から吸収されるのを防ぎ、血糖値の急激な上昇を抑える働きやコレステロール値の上昇を抑制する働きがあることから、糖尿病の予防効果が期待できます。

 

またベタインには、胃の中の塩酸と結合し、胃液の酸度を調節する働きがあります。この働きにより、

胃の健康を保つ効果があり、医薬品としても用いられています(5)

 

ベタインには、界面活性作用があるので、化粧品などに用いられ、肌や髪に潤いを与える効果があります。

また、吸湿性や、保湿性、浸透性に優れ、髪の帯電を防止する効果もあることから、

ヘアケア化粧品などに活用されています。ベタインは、刺激も少なく敏感肌にも使用することができます。

 

ベタインの摂取量

ベタインは、個人によって摂取量が異なりますが、一般的な摂取目安量は 下記の通りです。

 ○心疾患や卒中の予防対策  : 500~1,000mg/日
 ○ホモシステイン尿症    : 6,000mg/日

 ベタインを摂取する際は、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12を一緒に摂取することが効果的です。

 

ベタインが多く含まれる食品

ベタインは水産物ではタコ、イカ、エビ、カニ、貝類に多く含まれます。植物では、

ほうれん草やビート(砂糖大根)、キノコ、などに多く含まれています。

ビタミンB群

【参考文献】

(1)Betaine protects against high-fat-diet-induced liver injury by inhibition of high-mobility group box 1 and Toll-like receptor 4 expression in rats https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23861108/

(2)Effects of carnosine plus vitamin E and betaine treatments on oxidative stress in some tissues of aged rats https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23701646/

(3)Methionine metabolic pathway in alcoholic liver injury    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23232418/

(4)Dietary choline and betaine intakes and risk of cardiovascular diseases: review of epidemiological evidence https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22577451/

(5)Betaine-palmitate reduces acetylsalicylic acid-induced gastric damage in rats https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11495075/

 

 

システインとは

システインとは

システイン (cysteine) は非必須アミノ酸の1つで、

天然にはL-システインとして、食品中タンパク質に含まれます。

体内では、必須アミノ酸の「メチオニン」から、システインが合成されます。

食品添加剤として利用され、肌のシミを改善するためのシステイン含有のサプリが販売されています。

 

システインを含む食品

食物では、赤唐辛子、ニンニク、タマネギ、ブロッコリー、芽キャベツ、オート麦、高野豆腐、ごま、卵、小麦胚芽に含まれる。

体内ではメチオニンから作り出される。

 

効果

「L-システイン」は、皮膚や髪、爪の頑丈な組織を作り出し、ハリやコシもととなっています。

なお、ビタミンCを一緒に摂ると、L-システインの働きが活発になり相乗効果が期待できるので、さらに効果的です。

L-システインは、肌細胞の生まれ変わりを正常化し、ビタミンCとの相乗効果で、

シミ・そばかすの原因でもある過剰なメラニンを排出し体の内側からシミ・そばかすを防止します。

L-システインが肝臓は働き、体の代謝(エネルギー産生)を助け、疲れ・だるさを

改善します。また、アルコールが代謝される際にできるアセトアルデヒドと直接反応して無毒化し

たり、アルコールを無害な物質に変える酵素の働きを助けるなど、二日酔いにも効果を発揮します[1]

日本国外では、胃の保護また、飲酒時のアセトアルデヒドを排除する目的ためにシステインを利用したサプリメントが開発され販売されています。

 

L-システインを含むシステインのサプリメントを長期間服用すると、副作用として髪の色素が薄くなるといわれています。

場合によっては白髪の原因になるかもしれません。過剰摂取にならないように、サプリメントなどで摂るときには用法容量を守りましょう。

生活習慣が気になる方

【参考文献】

[1]https://www.ladydrug.jp/shop/media/import/4987300058602.pdf