ビタミンAとは

 

 

【ビタミンAとは】

ビタミンAは油に溶けやすい脂溶性ビタミンで、主に肉などの動物性食品に含まれています。また、緑黄色野菜から摂取されるβ(ベータ)-カロテンなどのカロテノイドは、体内でビタミンAに変換されます。このように体内でビタミンAに変換されるものを総称してプロビタミンAと呼びます。ビタミンAの生理作用を起こすプロビタミンAは、およそ50種類ほどが確認されています。

ビタミンAは、肌の健康維持、暗いところで目が慣れるようになる視覚の暗順応、さらに鼻や喉などの粘膜に働いて細菌から体を守ったり、発育を促進したりなど、たくさんの重要な役割を担っています。

 

【効果】

ビタミンAを皮膚に塗布すると、肌のハリと弾力の維持にとても大事なコラーゲンとエラスチンの合成が促進され、シワが減少し皮膚の弾力性が高まる効果が認められています。ビタミンAだ代謝することによって作られるるレチノイン酸は、体内に必要な水分を蓄える役割を果たすムコ多糖の生合成を促進し、細胞膜を増強するといわれています。日本では、医薬部外品の化粧品に配合されたビタミンAのシワ改善作用を、効能として明示することが、厚生労働省によって承認されています。

ビタミンAが不足すると、暗いところで目が見えなくなる“とり目”がおこることが知られています。他の不足症状として、粘膜の乾燥や角質化などが起こるために、ウイルスに対する抵抗力が弱まって感染症にかかりやすくなります。

 一方、ビタミンAをとり過ぎてしまうと、肝臓に蓄積されて肝障害などをおこす恐れがあります。通常の食事において摂り過ぎる心配はありませんが、サプリメントやビタミン剤を摂取する場合は使用量の目安をきちんと守りましょう。

 

【一日の所要量】

厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において、基準となるビタミンAの摂取量が記載されています。

性別 男性 女性
年齢等 推奨量2 目安量3 耐容 推奨量2 目安量3 耐容
(RDA) (AI) 上限量3 (RDA) (AI) 上限量3
(UL) (UL)
0~5 (月) 300 600 300 600
6~11 (月) 400 600 400 600
1~2 (歳) 400 600 350 600
3~5 (歳) 450 700 500 850
6~7 (歳) 400 950 400 1,200
8~9 (歳) 500 1,200 500 1,500
10~11 (歳) 600 1,500 600 1,900
12~14 (歳) 800 2,100 700 2,500
15~17 (歳) 900 2,500 650 2,800
18~29 (歳) 850 2,700 650 2,700
30~49 (歳) 900 2,700 700 2,700
50~64 (歳) 900 2,700 700 2,700
65~74 (歳) 850 2,700 700 2,700
75以上 (歳) 800 2,700 650 2,700
妊婦 (付加量)
初期・中期
後期
0
80
授乳婦 (付加量) 450

30歳から49歳の女性の1日のビタミンの目安摂取量は、ビタミンA 540 µg(妊婦 600 µg)程度と考えてください。ビタミンAは、健康障害をもたらすリスクがないとみなされる摂取量の上限「耐容上限量」が定められています。
1日の耐容上限量は18~69歳の男性で、2700μgRAE、女性で2700μgRAEとされています。なお、耐容上限量は健康障害を引き起こすことがない上限量で、これを超えて摂取しても、必ずしも障害を起こすわけではありません。また、カロテノイドを食事から摂取する場合では、体内でのビタミンAへの変換が調整されるために、ビタミンA特有の過剰症は心配ないとされています。

 

【食物からの摂取】

ビタミンAを豊富に含む食品は、レバー、うなぎ、バター、マーガリン、チーズ、卵。そして、ビタミンA前駆体のβ-カロテンを多く含む食物には、緑黄色野菜があります。例えばニンジン、ピーマン、ホウレンソウ、コマツナ、カボチャなどです。ビタミンAは高温において酸化・分解を受けやすく、また、油脂に溶ける性質があるので、油といっしょに調理すると摂取効率が良くなります。たとえば、短時間で調理でき、たくさん野菜がとれるバター炒めなどは良い調理法のひとつです。ビタミンAが動物性食品に多く含まれるのに対し、β-カロテンは緑黄色野菜や海草に多く含まれ、体内のビタミンAが十分ならビタミンAに変化しないため、過剰摂取の心配はありません。

 

【供給源になる主な食べもの】

では、ビタミンAを食品から摂取する場合、各食品をどの程度摂取したらよいのでしょうか。

各食品を100グラム摂取した際のビタミンAの含有量が日本食品標準成分表2015年版 (七訂)」のデータに示されています。

 

食品名成分量100g/μg食品名成分量100g/μg
タラ(肝)37000しそ(生)880
豚レバー(生)13000青汁(ケール)860
アンコウ(肝)8300モロヘイヤ(生)840
八目ウナギかば焼き8200食塩不使用バター800
あゆ(焼き)6000ほうれん草(茹で)720
うなぎ(肝)4400ひとえぐさ(素干し)710
味付けのり2700鮭すじこ670
うなぎ(生)2400卵黄(茹で)630
抹茶2400バジル(生)520
パセリ(乾燥)2300ちぢみゆきな(茹で)500
焼きのり2300よもぎ(茹で)500
ほたるいか(茹で)1900マンゴー(乾燥)500
ぎんだら(水煮)1800こい(生)500
うなぎ(かば焼き)1500西洋かぼちゃ(茹で)450
とうがらし(乾燥)1500しゅんぎく(茹で)440
本マグロ(生)1100にら370
にんじん1100アイスクリーム (高脂肪) 100
フォアグラ(茹で)1000みかん84
あなご(蒸し)890さば缶詰 (みそ煮)42

 

【まとめ】

ビタミンAは、現在の日本においては、通常の食生活で欠乏症となることは少ないようですが、偏った食生活が長くなり、ビタミンAが不足してしまうと、皮膚の粘膜が弱くなったり、目の調節機能に影響が出てしまいます。

ビタミンAは、β-カロテンとして緑黄色野菜などから積極的摂取することをおすすめします。ビタミンAの前駆体であるβ-カロテンは大量に摂取しても健康障害を起こすことはなく安全です。
また、新鮮な野菜などが十分に摂れない時などは、サプリメントなどを有効に活用して体調維持に努めることも効果的です。

 

ビタミンA(ベータカロテン)